マーケティングという言葉はよく聞かれますが、それを聞いて思い浮かべる言葉は人によってさまざまであり、中には間違った形で捉えている人も少なくありません。

よくある間違いの一つ目は、「リサーチのことだと思っている」。
アンケートなどの方法で顧客の需要を探り出し、商品開発に活用することをマーケティングだと思っているケースです。
しかし、1980~1990年代において米国コカ・コーラのマーケティング戦略を担当していたセルジオ・ジーマン氏は、アンケートなどはマーケティングを行うためのツールでしかないと言っています。
マーケティングは、商品を介して利益を出すことが目的なのです。

よくある間違いの二つ目は、「売り込みのことだと思っている」。
営業をかけたりして、買う気がない相手にも買わせることがマーケティングだと思っているケースです。
しかし、「経営学の父」とも呼ばれた故ピーター・ドラッカー氏は、「マーケティングの目的は、販売を不要にすること」だと言っています。ドラッカー氏は、マーケティングとセールスをはっきり別物だとしています。

よくある間違いの三つ目は、「広告宣伝のことだと思っている」。
CMや広告を使って商品やサービスを宣伝することを、マーケティングだと思っているケースです。
しかし、「マーケティングの神様」とも呼ばれているフィリップ・コトラー教授は、マーケティングを「需要に応えて利益を出すこと」だと言っています。

マーケティングは、広告宣伝部門だけの業務ではなく、商品やサービスを作ってそれを売り、その代金を回収するまでの流れの中で利益を出すために、消費者の需要を掴む戦略を立ててその過程を管理することがマーケティングだということです。
いずれも、マーケティングを捉える角度は違いますが、共通しているのは「顧客に買いたいと思わせる環境を構築することを重視している」ということです。
それを簡単に表現するならば、「売れる仕組みを作る」と言い換えられるでしょう。